現在、日本においては「医療」と聞くと、西洋医学が頭に浮かんでおられることと思います。しかしもちろんのことながら、それだけではありません。古来より脈々と続く漢方医学の概念は、今ももう一つの大きな選択肢として存在しています。
現代人の病気の症状は複雑化しており、ストレスなどにより、症状が同時に複数発症しています。西洋医学的には、これら多くの症状に対処するためにも、その各症状に対応していくために、その数だけ薬を必要とする場合も生じてきます。しかし漢方薬は体の中の乱れたひずみを全体的に把握し、元の状態に戻そうとする概念です。そのため、どういう体質の方が、どういう状態になっているのかをまとめて判断します。
これを「証」と呼び、この証に対して、どのような漢方薬で治していくのかを判断していきます。
この漢方薬を「方剤」と呼び、この「方」と「証」を一致させていくことにより治療していきます。どのような状態の時に、どのように自然の生薬が組み合わせられた「方」を使っていくかが、数千年もの間、積み重ねられた経験の歴史なのです。
もちろん漢方医学だけで万全なわけではなく、外科的に手術を要するものなども含め、西洋医学での治療が必要な疾患や状態はいくらでもあります。漢方医学と西洋医学、それぞれに優れている点があるので、その双方の利点をうまく使って効果が得ていくことが大切なのです。 |